ニッポン・スヰングタイム

著作やCD制作、イベントの活動を告知します。戦前・戦中ジャズをメインとして、日本の洋楽史について綴ります。

2010-01-01から1年間の記事一覧

東京での盛会お礼と1月のイベント

年の瀬も差し迫って参りました。師走の多忙を突いてご覧くださり、ありがとうございます。 11月25日の拙著発売に絡めて東京で行なったイベントは、お蔭さまで盛会を迎え、更なる東京・大阪での発表活動へとつなげることができました。 イベントにいらっしゃ…

新著が発売されます

きたる11月26日、新著が発売されます! 「ニッポン・スウィングタイム」 全12話・317頁 講談社 1800円(税別) "戦前、日本のジャズは眩く輝いた。進駐軍が来るはるか前から人びとは踊り、手練れのプレイヤーたちは、吹き、叩き、弾き、歌っていたのだ"(帯より…

新著とイベントのお知らせ�A

二ヶ月間、義母の看病と葬儀であたふたと時が過ぎました。 私の新著「ニッポン・スウィングタイム」(11月25日発売 1800円税別・講談社)にからめて東京でイベントをふたつ行ないます。 そのひとつはすでにお知らせしましたが、ふたつ目の概要が整いましたので…

新著とイベントのお知らせ�@

しばらくご無沙汰していましたが、今日は新著の紹介をすることができます。 「ニッポン・スウィングタイム」 刊行: 講談社 価格: 1800円 現在、再校の段階に入っています。タイトル、価格は正式な情報が降りてきましたら更新します。約300ページの書物となる…

二村定一の「新調ステテコ」

「新調ステテコ」(木下潤作詞, 近藤十九二作曲) 二村定一, タイヘイダンスオーケストラ 1934年11月新譜 二村定一は昭和初期、ジャズソングの覇者として認識されていたが、発声法や歌唱の微妙なゆらぎには端唄・小唄、俚謡の影響がみられた。邦楽的な要素の…

書影でたどる関西の出版100

「書影でたどる関西の出版100 明治・大正・昭和の珍本稀書」創元社 内容見本が届きました。 20部ほどありますので、ご希望があればお送りします。メールアドレスか、左のメールボックスよりお寄せください。 名うての古本者がそれぞれ思い入れのある書籍を美…

二村定一の流行歌二題

「当世男気質」 野村俊夫作詩、奥山貞吉作曲・編曲 丸山和歌子、コロムビア・オーケストラ 1933年3月新譜 二村定一のコロムビアにおける最後期の録音である。ナンセンス小唄と銘打たれている。丸山和歌子との共唱だが、丸山は各リフレインの最後のフレーズを…

SP盤でたどる戦前ナンセンスソングの系譜

私のお世話になっている瀬川昌久先生、佐藤利明氏、友人の保利透君が、このような楽しい催しを行ないます。東京近郊の方はぜひご覧ください。 ぐらもくらぶ 第一回イベント 『SP盤でたどる戦前ナンセンスソングの系譜 〜「二村定一」から「あきれたぼうい…

Royal Blue RecordとBG

Benny Goodman and His Music Hall Orchestra “Take My Word”(Benny Carter) “It happens to the Best of Friends”(Bloom-Parish) Rec.: 16th. Aug.1934 これはベニー・グッドマンがNBCラジオの電波に乗って全米を席捲し、スウィング王となる前夜、初めてバ…

二村定一の「枯れ枯れ」

「枯れ枯れ」(佐々紅華 作) 1926年11月新譜 伴奏は、フルート、クラリネット、トランペット、トロンボーン、ピアノ、ストリングス、という編成のニッポノホン・オーケストラ。 「枯れ枯れ」は中山晋平の「枯れすすき」や、「咲いた花なら」(江口夜詩=作曲 ニ…

湯山光三郎と東京ユーナイテッド・ジャズバンド

コメントで質問を頂いたので、その返答も兼ねて纏めてみたい。 「テルミー」”Tell Me” 堀内敬三訳詞、Max Kortlander作曲 1928年4月11日録音、1929年1月新譜 マックス・コートランダーが1919年に発表したノヴェルティーソング(滑稽味のある流行歌)で、Jose…

「おしゃらか節」(浪花名所小唄)

「おしゃらか節」(浪花名所小唄) 畑中真澄作詞、永井巴作曲 日東管絃団 1932年7月発売。 二村定一のレパートリーのひとつに「大阪をテーマとした歌」がある。大ヒットした「浪花小唄」(29年7月新譜)、コロムビアに移籍して正式な第一回発売となった「大阪セ…

二村定一「ヅボン二つ」「人間廃業」

ひさしぶりに二村定一のジャズソングについて記したい。 と言いたいところだが、今回も二村定一のジャズソングについて…と言った方がよいだろう。 「ヅボン二つ」"(You Can Only Wear)One Pair of Pants at a Time" ジェームズ・B・モナコ James B.Monaco作…

二村定一と青木晴子のSingin’ in the Rain"

“Singin’ in the Rain”というナンバーをずっと、といっても高校生までだが、戦後の産物だと思っていた。もちろんその根拠はジーン・ケリーの名シーンで有名な同名のミュージカル映画「雨に唄えば」だが、ラジオで二村定一の「雨の中に歌ふ」を知って、ああ、…

前野港造と高見友祥

最近、ふとしたきっかけで戦前派ジャズメンのサックスプレイヤーの聴き分けに挑戦している。ちなみにトランペットの方は南里文雄、橘川正、小畑光之、小畑益男、森山久をメインにメジャーレーベルのプレイヤーくらいなら判別ができるようになった。お次はサ…

二村定一26歳の「スエズ」

毎月恒例の関西発NHKラジオ深夜便「SP盤コーナー」(第二金曜 a.m.2:05〜)、今夜は二村定一26歳の歌声による「スエズ "Suez"」です。放送に先立ち、このディスクについて少し解説を加えます。 「スエズ」(妹尾幸陽訳詞、Ferde Grofe & Peter de Rose作曲) …

天野喜久代の「マイヱンゼル」

「マイヱンゼル」”Angela mia”(伊庭孝訳詩、Erno Rapee作曲) 天野喜久代、レッド、エンド、ブリュー・クラブ コロムビア 1929年3月5日録音、同年5月新譜 昭和初期、天野がラジオやステージで盛んに歌っていたナンバーである。やはり得意にしてラジオ・実演…

A.カアイの精粋「月は冴ゆれど」

井上起久子のディスクを纏めるつもりでいながら、なかなか果たせない。今回は天野喜久代(1897-1945?)である。というのも、実は井上起久子より天野喜久代の方が好きだからだ。昭和初期、ステージに、ラジオにレコードに活躍した天野はジャズソングの女王と喧…

二村定一の「ドリゴのセレナーデ」

「ドリゴのセレナーデ」"Notturno d'Amor"(堀内敬三訳詞、Riccardo Eugenio Drigo作曲) 二村定一 ニッポノホン 1926年2月新譜 リチャード・ドリゴ(1846-1930)の「百万長者の道化師」"Les Millions d'Arlequin"(1900)という歌劇の挿入曲。原題は「愛の夜想…

矢追婦美子の「それが世の中」

もはや忘れ去られた歌手、矢追婦美子を取り上げてみたい。 昭和初期のポリドールは、声楽志向の強い歌手が揃っていた。淡谷のり子や青木晴子は東洋音楽学校出身であり、奥田良三はイタリア留学経験者、そうして矢追婦美子は東京音楽学校卒、ミラノ留学の経験…

またまたヴォルフシュタール

ヨーゼフ・ヴォルフシュタール Josef Wolfsthal(1899-1931)は、しばしば此処で取り上げている、筆者の愛惜措く能わざる提琴家である。近年、再評価のきざしが静かにながら見られるが、コンプリートな覆刻は無く、CDの現役盤にも良い覆刻が無いのが残念だ。 …