ニッポン・スヰングタイム

著作やCD制作、イベントの活動を告知します。戦前・戦中ジャズをメインとして、日本の洋楽史について綴ります。

2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

東京のジャズバンド

フィリピン系バンドが来日し、日本人がよちよち歩きながらフォックス・トロットとジャズの演奏に踏み出した大正末期、日本のジャズの中心地は関西であった。 これは前にも記したようにダンスホールとその客とともに、伴奏音楽を演奏する楽士たちも関西に移っ…

初期のフォックス・トロット

ここで、フィリピン系バンドが活躍していた時期の日本人のダンスバンド、ジャズバンドを取り上げてみよう。 アメリカではジャズの発生と発展、新時代のダンスステップであるフォックストロットの発明と流行が重なって、フォックストロット形式のジャズが生ま…

大正昭和の来日バンド�V

「フィリピンバンドが来日したわけ」 当時のアジアにおいてジャズの中心地は一大国際都市、上海だった。その上海のジャズシーンに多くのプレイヤーを送りこんでいたのが、フィリピンであった。 フィリピンはスペイン領時代にキリスト教の布教が行なわれたた…

大正昭和の来日バンド�U

大正末期にはフィリピン人のバンドが何組も来日して、日本のジャズシーンに大きな影響を与えているのだが、いったい何組のバンドが来日したのか、それぞれのバンドがどのような顔ぶれであったのかは、まだ全貌が掴みがたい。 彼らは、震災前から日本に起こっ…

大正昭和の来日バンド�T

本場のジャズのフィーリングを日本に伝えたのは、レコードと、それから大正期にしばしば来日した、海外のジャズバンドであった。 初期の来日ジャズバンドは、日系移民の多かった関係からか、カリフォルニアやハワイから来ている。日本のジャズメンに多大な影…

青木晴子「君が居なけりゃ」

昭和初期にジャズソングを歌っていた青木晴子について、述べてみたい。 ジャズソングを歌っていたといっても、当時のヴォーカルの様式は、今日のいわゆるジャズヴォーカルとはかけ離れているので、ジャズシンガーというと語弊があるかもしれない。これは二村…

ロゼとサラサーテ

座右に置いてあるものから、二つのヴァイオリンのレコードを取り上げたい。 ひとつは、マーラー時代から1938年までウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を絶対的にリードし続けたコンサートマスター、アーノルト・ロゼ Arnold Rosé(1863-1946)のG&T盤である。…

日本のデコ・デザイン

レコードではないが、趣味で蒐めている楽譜について。先日入手した楽譜二点を紹介したい。 ひとつ目は1929年6月発行の白眉楽譜。 白眉楽譜ではこの年、伊庭孝の訳詩ジャズソングをシリーズでリリースしており(といっても確認した限りではほんの数曲のみだが)…