ニッポン・スヰングタイム

著作やCD制作、イベントの活動を告知します。戦前・戦中ジャズをメインとして、日本の洋楽史について綴ります。

2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Dancing Dixieland-Style

服部良一は昭和初期からルンバやスイングジャズなど時代の尖端をいく編曲を研究し、戦前にいち早くブギを取り入れたジャズアレンジを行なっていた。もっとも「別れのブルース」「雨のブルース」など一連のブルース物のヒットで、戦前は「日本のブルース王」…

Franz von Vecsey

フランツ・フォン・ヴェチェーFranz von Vecsey(1893-1935)の名を知ったのは、ご多分に漏れず中村稔氏の「ヴァイオリニストの系譜」(音楽之友社)によってであった。氏の的を得た、確信に満ちた簡潔な文章で、僕は実際に聴いていないときからヴェチェーのフ…

潜航艇の唄

黒田進というよりは楠木繁夫としてよく知られている歌手の、初期のレコードである。 黒田は1928年に東京音楽学校を退学。以降、c.1933年に東京に活動の軸足を移すまでは関西で独唱コンサート、声楽教授、レコード録音を行なっていた。(c.1929年から名古屋の…

意想曲一九三六年

「意想曲一九三六年」服部良一 作曲・指揮 クリスタル交響楽団 1935年7月新譜。 日本のガーシュインを志ざした服部良一がシンフォニック・ジャズの手法を駆使した意欲作。「来年の日本と世界の姿を交響曲にまとめてレコードの表裏に吹き込んだ大作」と自伝「…

Symphonie-Serie

1920年代にDeutsche Grammophonが行なった交響曲全曲録音シリーズは、伝記録音法の到来とともに過去物として押し流されたが、いま改めて耳を通すと、この時代のオケの練達した技術、熱く受け継がれてきた音楽魂に注目せざるを得ない。それは交響曲のような長…

Pathé - art

Pathé-artは1927年にフランスパテ社がリリースしはじめた、いわば音盤の芸術品である。 ラベルデザインを当時の著名な装丁家 フランソワ・ルイ・シュミーが手掛けている。シュミーの仕事のなかでもジャン・ デュナンの拵える七宝焼きとのコラボによる本の装…

鈴野雪夫と竹森しげる

先日、NHKの深夜ラジオで武井守成作曲・指揮の「祭礼の街角」(武井楽団:1941年)を放送したら、思いがけず武井氏のご遺族から感想を頂戴した。そこで武井楽団の他の録音や、伯林で録音された武井作品、ここに掲出した「竹森しげる」という名で作曲したジャ…