ニッポン・スヰングタイム

著作やCD制作、イベントの活動を告知します。戦前・戦中ジャズをメインとして、日本の洋楽史について綴ります。

レコード博物館開館

本日発売 保利透の初の単発書『SPレコード博物館 明治・大正・昭和のレコードデザイン』(Pヴァイン, 税込5,280円) 本日発売です。 ぐらもくらぶでおなじみ保利透さんの『SPレコード博物館』(Pヴァイン) は、その名に恥じぬ圧倒的な物量感で見る者に迫り…

『幻のレコード 検閲と発禁の「レコード昭和」』内容紹介

新著『幻のレコード 検閲と発禁の「昭和」』(講談社) を上梓して一ヶ月が経ちました。 書評もそろそろ出てくることかと思いますが、書籍の内容をつぶさに紹介してくださったメディアもぼつぼつと現れましたのでまとめます。 11月24日、TBSラジオ「金曜開店 …

【新著出します】『幻のレコード 検閲と発禁の昭和』 (講談社)

新著発売のお知らせ このほど11月1日に新著『幻のレコード 検閲と発禁の「昭和」』(講談社) が発売されます。30日以降、全国の書店に並ぶ予定です。定価2,100円 (税別)。 戦前流行歌 (戦後にも最終章で触れていますが)やレコード検閲にご興味がございました…

『SPレコード入門』一年記念

『SPレコード入門 基礎知識から史料活用まで』(スタイルノート)を上梓して一年が経ちました。 SPレコードを手に取るファンは、アナログブームを支える数多くのLPレコード愛好家に比較すれば、決して多いとはいえないかもしれません。ただし以前に比べてSPレ…

お伽芝居「狸の地蔵さん」ニットーお伽歌劇團

新種発掘。 二村定一のディスコグラフィに新たな一枚が加わりました。ニットーお伽歌劇団「狸の地蔵さん」(大村主計=作詞、青山武夫=作曲 / 1934年12月新譜)です。 二村定一の名はレーベルに記載されていませんが、あの声は隠しようがありません。ここでの二…

貴志康一 知られざる作品群

はじめに 2022年10月10日、貴志康一の新しいCDが店頭にならびます。 こちらはタワーレコードのリンクです。 tower.jp 以下、筆者が書いたライナーノートより抜粋。加えて今回の目玉となる楽曲について紹介します。 貴志康一(1909-1937)は28年の生涯にバレエ…

SP盤の流儀

読売新聞で7月に連載しました【SP盤の流儀】が読売新聞オンラインで読めますので4回分まとめました。 自己紹介的な連載です、ご覧ください! ① https://yomiuri.co.jp/culture/music/20220714-OYT8T50055/ ② https://yomiuri.co.jp/culture/music/202207…

重版出来!『SPレコード入門』

おかげさまをもって拙著『SPレコード入門 基礎知識から史料活用まで』(スタイルノート)が重版となりました。発売からわずか10日で重版のお知らせを頂いたので、「この本は売れるだろう」と見越していた著者もその勢いに驚いた次第です。 この重版によって…

新著『SPレコード入門』上梓に当たって

5月16日(月)、いよいよ新著『SPレコード入門 基礎知識から史料活用まで』(スタイルノート)が発売されます。 www.stylenote.co.jp 書名のとおり、これはSPレコードのガイド本です。 アナログブームの到来によってLPレコードの指南書は数多く世に放たれ…

『SPレコード入門 基礎知識から史料活用まで』出版のお知らせ

唐突ですが SPレコードの教科書を書きました。ものすごく単純に動機を書くと、「困ってる人がいるから」です。 ・自分のとこの博物館に古いレコードがあるけど洗い方も保存方法も分類法も右も左も分からない・SPレコードに興味はあるけど(以下同文) こ…

『ニッポン・スウィングタイム 戦前のジャズ音楽』発売のお知らせ

2021年7月7日にリリースされるビクターエンタテインメントの新譜『ニッポン・スウィングタイム 戦前のジャズ音楽』は、拙著『ニッポン・スウィングタイム』(講談社 2010年/絶版)に端を発した復刻シリーズから約10年を閲して出現した戦前ジャズのオムニバスで…

【新譜発売のお知らせ】雨の中に歌ふ 二村定一とジャズ小唄

来週11月25日(水)、ザッツ・ニッポン・エンタテインメント・シリーズ*1の第三弾としてアルバム『雨の中に歌ふ 二村定一とジャズ小唄』がビクターエンタテインメントより発売されます! 今年は二村定一生誕120周年。その記念年に滑り込みで間に合いました。二…

『夜店レコード 1930〜1937 禁断の戦前ジャズ音楽篇』ぐらもくらぶ特別臨時発売新譜

2020年10月18日にぐらもくらぶ特別臨時発売新譜として「夜店レコード」がリリースされるので、当初予定していた「戦前ジャズ歌謡全集・続タイヘイ篇」のご紹介を後回しにして、「夜店レコード 1930〜1937 禁断の戦前ジャズ音楽篇」について告知したいと思い…

ぐらもくらぶ新譜『レコード供養』 いささかの解説補筆

ぐらもくらぶの新譜『レコード供養 復刻されない謎の音盤たち』には、なかなか商業ベースの企画では復刻しづらい音源を集めた。 ※メタカンパニーのサイトから購入すると、本篇には収録しなかった日本心霊科学の巨人・浅野和三郎の「心霊通信 解説」などの特…

泣いちゃいけない 丸山和歌子 1931〜1937

12月29日、ぐらもくらぶの新譜『泣いちゃいけない 丸山和歌子の部屋 1931〜1937』がリリースされます。 https://amzn.to/36Uy1sC 丸山和歌子とは 1905年生まれ。ただし1902年説もあり。生家は神田の日本最古の幼稚園を営んでいました。女子学院(千代田区)を…

【新譜】泣いちゃいけない 丸山和歌子の部屋 1931〜1937

12月29日、ぐらもくらぶの新譜『泣いちゃいけない 丸山和歌子の部屋 1931〜1937』がリリースされます。 泣いちゃいけない 丸山和歌子の部屋 1931-1936 アーティスト:丸山和歌子 出版社/メーカー: ぐらもくらぶ 発売日: 2019/12/29 メディア: CD 丸山和歌子と…

戦前のミュゼット音楽②

ミュゼット音楽からはたちまち離れるが、「アンコールの宮殿にて」に触れたのでアコーディオン奏者の長内端を紹介せねばなるまい。 長内端(おさない・ただし 1910〜77)は帝大工学部という音楽家では異色の出身だ。しかし、その経歴が戦後にドンカマを生むこ…

戦前のミュゼット音楽①

洋楽のささやかなコレクションに、いつの間にかミュゼットのいいレコードが溜まっていたので並べてみる。まずアンリ・モンボアッセ。 仏Odeonの1932年カタログには、マルソーやエミール・ヴァシェーと共に多くのアンリ・モンボアッセが挙げられている。彼の…

レビュー ニッポン・モダンタイムス

元号が平成から令和へと移り変わる4月29日(月)〜5月1日(水)、イイノホールで『レビュー ニッポン・モダンタイムス』が行なわれます。 4月29日(昭和の日)、30日(平成最後の日)、5月1日(令和最初の日)という三つの時代のメモリアル・デーに、 初風諄 安奈淳 峰…

春季特別展『音楽家 貴志康一 生誕110年〜吹田に生まれた若き天才』

今年は貴志康一(1909〜1937)の生誕110周年。 貴志が生まれ育った大阪府吹田市では、その記念催事として吹田市立博物館にて春季特別展「音楽家 貴志康一 生誕110年〜吹田に生まれた若き天才〜」展が開催されます。 チラシ① チラシ② 2019年4月27日(土)〜6月9日…

二村定一のレコード 10

「浅草見物」(佐々紅華 作 並 指導) 高井ルビー 二村定一 ニッポノホン オーケストラ 1926(大正15)年2月新譜 麻生豊の漫画「ノンキナトウサン」を思わせる子供じみた父さん(=二村定一)と、しっかりした娘の春子(=高井ルビー)が連れ立って浅草を遊び歩くとい…

二村定一のレコード 番外

二村定一の録音をゆっくり吟味している途中だが、ここで二村定一にちなむレコードを取り上げるついでに、民謡のジャズ化についてまとめてみたい。 先ごろ戦前の民謡アレンジを『ダンスリヨウ』と銘打ってCD化した(ぐらもくらぶ G10037)。今回は、そのダンス…

「ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018での講演」

Atelier Binder(撮影), 1935 Koichi Kishi これは、ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018 で5月3日(木)に行なわれた関連講演の原稿です。5日(土)の本名徹次(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団, 貴志康一 : 交響曲『仏陀』の予習という意味合いで行な…

「歌へ若人」のサウンド

1. 主人公は歌手 10月15日にリリースされたぐらもくらぶの歌へ若人 東海林太郎 1934-1948に関連して、補遺のようなものを記したい。といっても自分が述べるのは主人公の東海林太郎のほうではなく、その伴奏の方である。収録曲の個々については小針侑起氏の簡…

二村定一のレコード 9

『東京見物』Nipponophone 16157 1926(大15)年6月新譜 歌詞カードと月報では『彌次郎喜多助 東京見物』と登場人物の名が小さく入っているがラベルでは『東京見物』とのみ記されている。 お伽歌劇のレコードではすっかり常連となった佐々紅華の作並びに指導で…

『浅草行進曲』史

承前『道頓堀行進曲』史 - ニッポン・スヰングタイム 2. 浅草行進曲 さて、次に『道頓堀行進曲』が生んだもう一つのヒット曲、『浅草行進曲』について述べたい。 『浅草行進曲』は、関西の松竹座での幕間劇『道頓堀行進曲』の評判に目をつけた松竹が映画化に…

『道頓堀行進曲』史

道頓堀行進曲 二村定一年譜の補完計画は暇なときにします。今回は道頓堀行進曲について。 長らく探求盤であった松島詩子『道頓堀行進曲』/マイフレンド『銀座行進曲』(ニットー 6522 1934年9月新譜)を手に入れることができた。松島詩子の『道頓堀行進曲』は…

二村定一のレコード 8

『ラヂオの小父さん』 Nipponophone 15991 1926(T15) 正月新譜 前年の1925(大正14)年7月12日に本放送が開始されたラジオをテーマとしたお伽歌劇である。 なお7月12日は現在、ラジオの日に制定されているのだが、JOAKはこれに先立つ同年3月22日から仮放送を行…

二村定一のレコード 7

『大つきな蛙』 Nipponophone 15735-B 1925(T14) 7月新譜 『エンサカホイ』『ノンキナトウサン』とカップリングの漫画童謡で、佐々紅華作詞・編曲。 原曲はフランスの作曲家レオナール・ゴーティエ Leonard Gautier (1866〜1955)が1890年代に発表したピアノ…

二村定一のレコード 6

『エンサカホイ』『ノンキナトウサン』 Nipponophone 15735-A 1925(T14) 7月新譜 佐々紅華作詞・作曲の漫画童謡。浅草オペラの少女スター岩間百合子との共演である。『エンサカホイ』では二村は岩間百合子の歌唱の合いの手とリフレインの合唱をつとめる程度…