ニッポン・スヰングタイム

著作やCD制作、イベントの活動を告知します。戦前・戦中ジャズをメインとして、日本の洋楽史について綴ります。

2009-01-01から1年間の記事一覧

講演 日本に於けるクレズマー音楽の受容史

2008年9月28日に神戸・ユダヤ文化研究会で行なった講演「レコードで辿る日本に於けるクレズマー音楽の受容史」が、同会の機関紙「港(ナムール)」に掲載されました。 神戸・ユダヤ文化研究会 当日の講演を読み易いよう改め、講演の時は思い至らなかった考え…

久野久のレコード

今年手にしたレコードで最も嬉しかったのは久野久(久子)のフジサン盤であった。 久野久(1886-1924)は明治期のピアニストではもっとも人気を博した存在である。15歳で東京音楽学校予科に入学し、その後本科器楽部に進んで幸田延やヘルマン・ハイドリヒ、ル…

チェリーランド・ダンスオーケストラ

東欧に起源をもつ音楽、クレズマー Klezmer musik は世界中に伝播し、それぞれの国に根付いたり、その地の音楽と融合して新たな発展を遂げたりした、流浪の音楽文化である。日本でクレズマーが認知されるようになったのは1970年代、小泉文夫氏のフィールドワ…

曽我直子の「月の沙漠」

井上起久子の録音に就いて早く述べたいのですが、今月も関西発ラジオ深夜便「SP盤コーナー」で取り上げるレコードを紹介します。10月10日am.02:05〜。 「月の沙漠」(加藤まさを作詩,佐々木すぐる作曲・編曲) 浅香つる江-vocal, 佐々木すぐるcond.ジャズバ…

恋人よかへりませ

「恋人よかへりませ」”Lover, Come Back to Me” 二村定一, 太陽ジャズバンド 太陽レコード 1932年4月新譜 「恋人よ我に帰れ」という邦題でよく知られているスタンダードナンバーを二村定一が歌っている。「恋人よかへりませ」というタイトルも、雰囲気があっ…

井上起久子part1

井上起久子(1892-??) 井上起久子は本名、井上増子(ます)。愛媛県新居浜市出身。 東京女子音楽学校を明治44年(1911)に卒業したが、一時期、東京音楽学校でも受講したようである。また、四谷で私塾をしていたアドルフォ・ザルコリにも師事して声楽を学んだ。…

マリア・バスカ  MARIA BASCA

先般、ビクター・エンタテインメント社より、かつて発売されていたCD「貴志康一自作自演集」が再発されたが、その折り、マリア・バスカ歌唱、貴志康一指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による歌曲の復刻がボーナスCDとしてオマケについた。これで、貴…

糸井光彌

折角なので糸井光彌について暫定的に纏めておきたい。 本名・紺井輝也。糸井光彌という芸名は紺と輝の偏を採って、也を彌に変えたもの。 コメントにも記したとおり1899年4月9日生まれなので、二村定一より一歳年上ということになる。1922年(大正11)には石井…

マドレーヌ藤田のシャンソン

今月のNHKラジオ深夜便「なつかしのSP盤コーナー」(9日午前2時5分〜)は、マドレーヌ藤田が歌うシャンソンです。 「恋はつらいもの」"Si l'on ne s'etait pas connu" 相馬仁 訳詩、Ph.Pares, George van Palys マドレーヌ藤田, フロリダ・アルゼンチンタン…

告知四連発!

4月16日〜19日にかけて4日連続でコンサート、ライブがありますので告知します。 �@ 「貴志康一生誕100年記念 貴志康一の映画とレコードコンサート」 【日時】4月16日(木) 【会場】大阪府吹田市メイシアター 小ホール 【料金】500円 今年、生誕100年をむ…

お知らせ

拙著「貴志康一 永遠の青年音楽家」(国書刊行会 2006)が国際音楽文献目録委員会発行の「RILM Abstracts(国際音楽文献目録)」の掲載文献として、RILMニューヨーク本部に登録されることとなりました。

今月のラジオ深夜便・SP盤コーナー

遅くなりましたが、今年も宜しくお願い申し上げます。 新年劈頭、日本のジャズに関する本が出版されました。 瀬川昌久・大谷能生「日本ジャズの誕生」(青土社) 瀬川昌久先生という斯界の大御所と、「東京大学のアルバート・アイラー」の大谷能生さんによっ…