ニッポン・スヰングタイム

著作やCD制作、イベントの活動を告知します。戦前・戦中ジャズをメインとして、日本の洋楽史について綴ります。

Classical Music

またまたヴォルフシュタール

ヨーゼフ・ヴォルフシュタール Josef Wolfsthal(1899-1931)は、しばしば此処で取り上げている、筆者の愛惜措く能わざる提琴家である。近年、再評価のきざしが静かにながら見られるが、コンプリートな覆刻は無く、CDの現役盤にも良い覆刻が無いのが残念だ。 …

マリア・バスカ  MARIA BASCA

先般、ビクター・エンタテインメント社より、かつて発売されていたCD「貴志康一自作自演集」が再発されたが、その折り、マリア・バスカ歌唱、貴志康一指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による歌曲の復刻がボーナスCDとしてオマケについた。これで、貴…

ラベルで辿るヴォルフシュタール

ずっと当ブログをお留守にしてきたので、ゆるゆると再開したい。 手始めに美しいレコードラベルを少々。 以前、「ヨーゼフ・ヴォルフシュタール」で紹介したので詳しくは省く。 アコースティック録音のベートーヴェン「ロマンス ヘ長調」。1925年録音。この…

Emil von Sauer

エミル・フォン・ザウアー Emil von Sauer(1862-1942)も、同門のローゼンタールとおなじく、リスト門下に下ったときには既に完成されたピアニストであった。 高揚した華麗さはローゼンタールと同様だが、ザウアーはローゼンタールより骨の太さを感じさせ、且…

А.В.Вержбиловичъ

ピアノの奏派の好みがそうであるように、弦楽に於いても筆者は19世紀から20世紀初頭の、今日とは異なる美意識で整頓された演奏様式を好む。 チェロの場合、筆者はカザルスなど国境を越えた国際派の巨匠も勿論のことよく聴くのだが、カザルスよりもフォイアマ…

Moriz Rosenthal �T

筆者のピアノの好みはごく古いスタイルの奏派…リストの継承者たちの中でも19世紀末に洗練を遂げた一群のピアニストである。 特にMoriz Rosenthalモーリッツ・ローゼンタール(1862-1946)の輝かしいタッチとポーランド産らしい独特のリズム感には若い頃から魅…

ヨーゼフ・ヴォルフシュタール

私のもっとも好きなヴァイオリニストに、ヨーゼフ・ヴォルフシュタール Josef Wolfsthal (1899-1931)がいる。 大体、ヴァイオリニストの好みはプルジホダ、フーベルマン、キロガ、マルトー、ヴェチェー、ロゼーという個性の勝ったメンバーで固められているの…

LEO SIROTA

レオ・シロタ Leo Sirota(1885-1965)に就いては、山本尚志氏の充実した評伝も出版されており、また復刻CDも多彩に出されているので、今さら愚生如きが評するまでもないであろう。戦前は旧時代的なヴィルトゥオーゾと評し去られる傾きのあったこの知的で気品…

Arthur Nikisch

1913年録音のニキシュのベートーヴェン「第五」は流石に音の曖昧さ加減に辟易するが、1920年代になってから、アコースティック時代後期のオーケストラ録音は(好き嫌いはあるだろうが)充分に指揮者とオーケストラの呼吸を聴き取ることができる。 この「ロー…

Franz von Vecsey

フランツ・フォン・ヴェチェーFranz von Vecsey(1893-1935)の名を知ったのは、ご多分に漏れず中村稔氏の「ヴァイオリニストの系譜」(音楽之友社)によってであった。氏の的を得た、確信に満ちた簡潔な文章で、僕は実際に聴いていないときからヴェチェーのフ…

Symphonie-Serie

1920年代にDeutsche Grammophonが行なった交響曲全曲録音シリーズは、伝記録音法の到来とともに過去物として押し流されたが、いま改めて耳を通すと、この時代のオケの練達した技術、熱く受け継がれてきた音楽魂に注目せざるを得ない。それは交響曲のような長…