ニッポン・スヰングタイム

著作やCD制作、イベントの活動を告知します。戦前・戦中ジャズをメインとして、日本の洋楽史について綴ります。

二村定一のレコード 5

『泊り番』 Nipponophone 15689-B 『笑ひ薬』のカップリングで、こちらも浅草オペラの少女スター相良愛子が共演している。もっとも『笑ひ薬』ではリフレインに共唱でつきあっている程度だが、この『泊り番』ではがっつり相手役として共演している。 内容は、…

二村定一のレコード 4

『笑ひ薬』Nipponophone 15689-A 1925(T14) 6月新譜 佐々紅華作詞・編曲による流行小唄。のちに二村自身がビクターで再録音して大ヒットした。近代的なナンセンスソングの嚆矢といえる歌である。 原曲はミンストレル歌手のBilly Goldenが1890年代から1920年…

二村定一のレコード 3

『牛若弁慶』 Nipponophone 15664 1925(T14) 5月新譜 浅草オペラの少女スターであった相良愛子との共演である。相良は達者な台詞回しと、女優連でもひときわ目立つ愛嬌のある声が特徴である。歌の上手さよりその活き活きした愛くるしい声がお伽歌劇のレコー…

二村定一のレコード 2

『あめやさん』 Nipponophone 15508 1925(T14) 正月新譜 1925年正月新譜ということは前年の録音ということになる。二村定一の名前が入った最初のレコードである。二村定一というタレントを佐々はお伽歌劇でフルに活かそうとした。ここではベテランのアルト歌…

二村定一年譜補完計画

◯昭和4年の項に以下の情報を追加。 6月2日 「ジャズの夕」長野県上諏訪本町銀座 フキザワ時計店蓄音器部主催 二村定一、曽我直子、春野芳子(舞踏)、井田一郎(指揮) 日本ビクタージャズバンド 昭和3年・4年は帝国館、電気館、観音劇場、と浅草の映画館・劇場…

二村定一のレコード 1

昨年、大阪から東京へ転居しました。東京での仕事も軌道に乗ってようやく身辺が東京という地に馴染んできたのですが、大阪を引き払うときにプロバイダを変更したため、2000年代半ばから長らく使ってきたホームページが消滅してしまいました。 思えばまだ昭和…

二村定一年譜補完計画

昭和3(1928)年の補遺事項 ◯昭和3年の項(p.242)に以下の情報が加わる。 2月5日 独唱会 (詳細は未詳) 6月24日 「映画と独唱の夕べ」丸の内・時事新報社講堂 主催:静田錦波講演会 この会では『当世娘気質』(西村小楽天)、『蝙蝠草紙』(大和田錦光・小田錦城)、…

二村定一年譜補完計画

はじめに 自分の著作の補遺をwebで公開しようと思い立った。 自著といってもまだ単著が四冊あるばかりだが、いずれも上梓してから後に新しい情報を入手したり、訂正が必要になったりしている。その数が馬鹿にならない。 そういう訂正・追加事項はいちいち自…

新著刊行とイベントのお知らせ

新著刊行 先月下旬、4冊目の著作となる『ニッポン エロ・グロ・ナンセンス 昭和モダン歌謡の光と影』を講談社選書メチエより上梓しました。 また、関連企画としまして、ビクターエンタテインメントより『ニッポン・エロ・グロ・ナンセンス モガ・モボ・ソン…

転居&新著・新監修CD&イベントのお知らせ!!!!

引っ越しました! 5月のイベントを終わって以降、あまりの忙しさにゆっくりブログを綴る暇すらありませんでした。いくつかの告知があるのですが、ひとつ目はお引っ越しです。 大阪から東京に遂に引越しました。 もともと東京に出ないと仕事関係のもろもろが…

ぐらもくらぶ新譜のお知らせ

盛会御礼 今月8日のぐらもくらぶ祭「浅草オペラ100年と二村定一リスペクト・ショー」は、ぐらもくらぶ史上最大の盛会となりました。浅草オペラや二村定一に対する世間の興味が潜在的に大きいものであったことに心地よい驚きをおぼえています。 そうして特筆…

あさって8日はぐらもくらぶ

さて、8日(日)の"春のぐらもくらぶ祭り2016"『浅草オペラ100年と二村定一リスペクト・ショー』(江戸東京博物館)を明後日に控えて、あす上京の運びとなりました。 これより私の方からは予告はRetweetくらいになるかと思います。 ほかの出演者の皆さんはその道…

GW二村定一特集④

GW二村定一集中特集 さすがにGW疲れしてきました。 来たる8日(日)の春のぐらもくらぶ祭り2016『浅草オペラ100年と二村定一リスペクシ・ショー』では、さまざまな角度から二村定一を生んだ浅草オペラと、二村定一というエンターテイナーを解剖しようと企てて…

GW二村定一特集③

GW二村定一集中特集③ 来たる8日(日)の江戸東京博物館での『浅草オペラ100年と二村定一リスペクト・ショー』では、シンポジウム形式のトークショウと青木研&渡邊恭一のSwingersで二村定一の魅力を掘り下げる計画です。 なんといっても昭和初期のべーちゃんは…

GW二村定一特集②

二村定一集中特集② 二村定一にはいろいろな顔がありました。 浅草オペラで培った表現力が昭和のレヴュー時代、軽演劇時代になって役立ったのです。 昭和7年7月、浅草松竹座の「リオリタ」ではピストルをかまえるダンディーな伊達男を演じました。カウボーイ…

GW二村定一特集

イベント前なので二村定一を集中特集 良いお日和にめぐまれたGW、いかがお過ごしでしょうか。 一週間後の8日(日)の『浅草オペラ100年と二村定一リスペクト・ショー』(江戸東京博物館)まで、能うかぎり更新をして告知につとめたいと思います。 二村定一の一種…

ぐらもくらぶイベント間近!

5月8日(火)の江戸東京博物館・春のぐらもくらぶ祭り2016『浅草オペラ100年と二村定一リスペクト・ショー』まで、あと一週間となりました。 10年ちょっと前は二村定一といっても話の通じないことが多い、マイナー中のマイナーな存在でした。二村定一を取り扱…

ぐらもくらぶ5月新譜

さきに『春のぐらもくらぶ祭り2016』をお知らせしましたが、5月にはぐらもくらぶより3種の新譜CDがリリースされます。 1つめは「二村定一リスペクト・ショー」との連動企画である「帰ってきた街のSOS! 二村定一コレクション1926-1934」です。 ぐらもくらぶの…

ブログ開設のご挨拶と『春のぐらもくらぶ祭り2016』告知!

ブログ開設のご挨拶 以前使っていたteacupブログが新規更新を停止しているので、はてなに新たにブログを開設しました。どうぞよしなにお願い申し上げます。 『春のぐらもくらぶ祭り2016』 開設一発目から告知です! いよいよ世間はGWに突入しましたが、私ど…

ラジオ告知とCDリリースのお知らせ

一年とちょっとぶりの毛利監修のCDリリース告知その他です。 7月5日リリースですから悠長にも程がありますが、こうしたちょっとした変化を機会にこのブログもまた活性化しなければいけないな、と思います。怠けすぎました。 さしあたり直近にラジオへの出演…

ねえ興奮しちゃいやよ 昭和エロ歌謡全集 1928-1932

さまざまな出来事やイベントに押し流されて、すっかり更新が滞りました。 ずっとおあずけを喰っていたぐらもくらぶCD「ねえ興奮しちゃいやよ 昭和エロ歌謡全集 1928 - 1932」の紹介です。 このCDを企画したのは去年の秋、9月くらいだったと思います。企画を…

【戦前ジャズ辞典】トロンボーンの巻

戦前ジャズの楽しみ方、学び方として録音から聴き取れる各パートの主なプレイヤーについて述べはじめたが、ラッパ隊のトランペットから始めたことだから今度はトロンボーンについて纏めてみよう。 その前に、大正期の二つの録音について述べておきたい。 日…

【戦前ジャズ音楽辞典】トランペットの巻

戦前ジャズの大量に残された音源には膨大なデータが含まれている。とりわけジャズバンドなどはひとりひとりの特定をするのにサンプルも最低限あるし、ジャズの歴史を紐解くのにパーソネルは必要不可欠である。 アメリカやヨーロッパにはそれがあるのに日本に…

To My Favorites

ぐらもくらぶでの都市ジャズ三部作も大東京ジャズ Jazz in The Tokyo Great Tokyo Jazz song collection 1925~1940">で一段落ついて、また装いも新たな企画路線を模索している(実はすでに次作の企画もあるという噂)今日この頃ですが、運良く死に損なったこと…

CD新譜とイベントのお知らせ

まず、私的な事件ながらこの1月に轢き逃げの交通事故に遭って2ヶ月ほど入院し、その後も療養生活を送っていることを述べねばなりません。幸い歩行がつつがなく行なえる程度には回復してきましたが、その間、僕の身の回りの数多くの方々にご心配を掛け、また…

CD「スウィング・パラダイス」発売のお知らせ

最近は身辺の煩雑な事情で更新を怠けて、CDのリリースに合わせて記事を書くくらいの頻度になってしまいました。僕の監修したCDやぐらもくらぶのCDが発売されるたび収録曲のデータをそっくり抜いてせっせとウェブ随筆にいそしむ(しかもCDには言及せず恰も自分…

「大大阪ジャズ」発売にあたって。 その貳

DISC-2は「大大阪」をテーマに、ジャズの周辺音楽をさぐってみました。 まず最初に、大阪を歌ったジャズソング特集です。 「大阪行進曲」はコロムビア関西文芸部が最初に放ったヒット曲です。オリエントから1929年8月新譜(7月20日発売)でリリースされた井上…

「大大阪ジャズ」発売にあたって。 その壱

お待たせしました。そのひと言に尽きます。 戦前大阪のジャズは、僕にとって大きな課題のひとつでした。拙著「ニッポン・スウィングタイム」でも触れましたが、日本のジャズの中心はいっときとはいえ関西、ことに大阪にあったのであり、細かな事実の積み重ね…

「戦前ジャズ・コレクション〜テイチク・インスト篇」

ご無沙汰しています。さて、いよいよ次なるCDのお目見えです。 来たる11月25日にリリースされるぐらもくらぶ第3弾は、2枚組の特作です。 “The Lost World in Jazz – TEICHIKU SWING COLLECTION” ぐらもくらぶのジャズ関連の復刻は、これからこのThe Lost Wor…

リズム・レッカーズのLUCKY盤

The Rhythm Wreckersはバンドリーダーのベン・ポラック Ben Pollack がヴォカリオン社 Vocalionの要請で組んだレコーディング・バンドで、1936〜38年に26面を録音している。ポラックの下、マグシー・スパニアMuggsy Spanier tp、アーヴィング・ファゾラIrvin…