ニッポン・スヰングタイム

著作やCD制作、イベントの活動を告知します。戦前・戦中ジャズをメインとして、日本の洋楽史について綴ります。

鈴野雪夫と竹森しげる

先日、NHKの深夜ラジオで武井守成作曲・指揮の「祭礼の街角」(武井楽団:1941年)を放送したら、思いがけず武井氏のご遺族から感想を頂戴した。そこで武井楽団の他の録音や、伯林で録音された武井作品、ここに掲出した「竹森しげる」という名で作曲したジャズソングなどをCD−R一枚に纏めて謹呈した。かかる反響は、ラジオをしていて最も醍醐味を感ずる。 竹森しげる名で作曲したこの歌を、娘さんは今でもよく覚えている由である。「丸の内メロディ」冒頭部は、大阪松竹少女歌劇団のテーマソング「さくら咲く国」に似通っているが、こちらの方が先である。歌手の鈴野雪夫はイタリアに留学していた奥田良三の変名で、同時期にコロムビアで植森たかをの名前も用いていた。 昭和4年(1929)7月新譜。