ニッポン・スヰングタイム

著作やCD制作、イベントの活動を告知します。戦前・戦中ジャズをメインとして、日本の洋楽史について綴ります。

これぞマドロスの恋

1931年(昭和6年)のドイツ、ウーファ映画「狂乱のモンテ・カルロ」"Bomben auf Monte Carlo"主題歌「これぞマドロスの恋」「モンテカルロの一夜」は、我が国では奥田良三のポリドール盤と山田道夫のパーロホン盤でレコード化された。特に奥田良三がベルリン留学中にベートーヴェンザールでポール・ゴッドウィン・ダンスオーケストラと吹き込んだ前者はベストセラーとなった。画像下は、非常にしばしば見られる奥田盤のラベルである。昭和9年3月新譜で、このレコードがたいへん広く普及した。

しかしそれ以前、昭和7年にポリドールの洋楽盤で発売されたのが画像上である。海外で録音されたため洋楽の映画主題歌に組み込まれ、洋画ファンやポピュラーミュージックファンの間で評判となった。一般受けをするレコードであることが分かったので、昭和9年に邦楽盤に組み込まれたわけである。クラシック音楽やダンスレコードと同様の横文字の入る体裁であったためか、この初期バージョンは意外にお目にかからない。流行歌のコレクターは洋楽盤のラベルにあまり注意を払わないからである。

名前の綴りがRiozo Okudaとなっているが、これはベルリン以前、ローマ留学した時からの習慣だろう、自署もこの綴りであった。

海外録音のダンスレコードでは、Eddie Saxon und Deutsche Tanzorchesterのコロムビア盤と、Bajos Belaの楽団のパーロホン盤"Matrosen Tanz"が大ヒットした。