ニッポン・スヰングタイム

著作やCD制作、イベントの活動を告知します。戦前・戦中ジャズをメインとして、日本の洋楽史について綴ります。

【告知】新しいCDが出ます。

CDのリリースが続きますので、更新も迅速に対応してゆきます。

年内の原稿仕事はようやく、ほぼ全て終わりましたから。

来週12月21日(水)、キングから"Sweet Voices 1934-1942"が発売されます!

このセットは、スウィングに富んだディスクとタンゴの知られざる名唱に力点を置いて選曲されました。過去に復刻された音源も、新たにマスタリングあるいはSP盤からの板起こしをしております。が、初復刻・初CD化を数多く含んでおります。

このセットではいろいろ冒険させて頂きました。

「ダンスパーティーの夜」など歌謡曲で多くのヒットを飛ばした林伊佐緒のジャズシンガー・アレンジャーとしての一面を盛り込んでみましたし、早世した杉井幸一のソフトな文字通りスウィート・ヴォイスを入れることができたのも、一つの喜びです。それから、私の好きなミッキー松山を10曲以上、入れました。まさかミッキー嫌いな方はいらっしゃらないと思いますが、いらっしゃったらごめんなさい。官能を漂わせる魅力的なヴォーカルは、上海のキャバレーで培われました。ぜひこの機会に、ミッキーを聴いてください。

しかしこのセットで真に秘蔵といえるのは、タイヘイ、日本クリスタル、ニットーから選びに選び抜いたセクションです。赤坂溜池のボールルーム「フロリダ」で歌っていた水島早苗のタンゴ、ジャズ、ハワイアン。特にバリエーションが華麗な「ラ・クンパルシータ」はもちろん初復刻の絶唱です。

個人的にはシキ皓一、長谷川顕をきちんと扱えたのがよかったと考えております。それから、無理をいってニットー・リズム・ボーイズと市川春代を入れさせて頂きました。この、完全に忘却されていたリズムボーイズのおどろくべきジャジーなセンスは一聴に値します。

市川春代がクリスタルに吹き込んだ2曲は、20代はじめの頃からCDで聴きたいと切望していたのがようやく実りました。まさか制作者側になるとは思っていませんでしたが!

このCDも高橋正人プロデューサー、保利透君とのそれぞれ一癖も二癖もある選曲で、これまでにない、おもしろい境地に到達しました。(それは本プロジェクト全体に通じる感慨ですが)シリーズはまだ続きます。ご期待ください!

ビクターからは、長年、心あるジャズソング・コミックソング・ファンが熱望していた岸井 明がCD 2枚組となって登場!

岸井の軽快で愛嬌たっぷりなジャズソングがセットにまとまったのは、大きな意義があります。

ジャズ好きの岸井は親しかった谷口又士トロンボーン奏者)に相談。紙恭輔を指揮者・アレンジャーに擁するP.C.L管弦楽団のメンバーとともにビクター・スタジオで自作の訳詞による「ダイナ」や「スーちゃん」「月に告ぐ」などを吹き込みました。したがって一連の録音は、戦前のP.C.L映画を見るようなプラスティックでモダンな雰囲気をまとっています。

和製ジャズソング、映画主題歌、たいへん珍しい音源も含む、文字通りの集大成です! こちらもどうぞよろしく!