ニッポン・スヰングタイム

著作やCD制作、イベントの活動を告知します。戦前・戦中ジャズをメインとして、日本の洋楽史について綴ります。

☆二村定一の評伝とCDを出します☆

あす25日、いよいよ新著「沙漠に日が落ちて─二村定一伝」(講談社)が刊行されます! ビクター・エンタテインメントのCD「私の青空〜二村定一ジャズ・ソングス」と同時発売です。 (書籍の方は、店頭に並ぶのが書店によっては26日となります。) 私は戦前日本の洋楽文化を専門として執筆活動・レコード講演を行なっていますが、かねがね戦前の音楽を伝えるには残された音が欠かせないと考えております。どんなに曲筆しても、資料を膨大に使用して検証を究めても、残されたレコード録音に勝る伝達はできません。ですので、前著「ニッポン・スウィングタイム」では、いかに戦前ジャズが楽しいものであるか、一読して聴きたくなるような"名盤百選"方式でディスコグラフィカルに記述しました。その思いが、さまざまな方の助力でレーベル4社からリリースされた「ニッポン・モダンタイムス」シリーズとして結実しました。 二村定一は魅力ある歌手であり、才覚にあふれたエンターテイナーでした。今回の二村定一伝記はそのはじまりから「CDと同時発売に」という恵まれたスタートをきりました。前著を受けて、かれの魅力と人気の秘密について心ゆくまで述べてみました。CDの方も、私自身が普段から愛聴し、つねづね復刻するならこのナンバーを、という顔ぶれでジャズソングを中心に編みました。 このCDと新著はふたつで一つです。二村定一という人物の成功と転落、いちばん輝いていた時期にレコード化されたアゲアゲのナンバーの数々をご堪能ください。   ビクターのCDの選曲基準としては、◯定番曲は残す(従来出ていた二村定一の1枚ものCDが廃盤となるので)、◯歌唱・演奏ともにすぐれた録音から、未復刻あるいは未CD化曲を中心とする、◯二村定一の魅力を多角的に楽しめるよう、ジャズソングとコミックソング、海外曲と和製曲をバランスよく取り混ぜる、という3点を意識しました。さていかがでしょうか? ちなみにこのCD,たった1曲を除いてビクター社に保管されている金属原盤から復刻しました。市販のシェラック盤からは味わえないその音質のクリアさは、長年ずっと二村のレコードを聴いてきた私も感涙ものです。 なお、ビクター・エンタテインメントの二村定一CDとは別に日本コロムビアのCDニッポン・モダンタイムス シリーズ~SWING TIME~にも「エロ草紙」や「百萬円」「ヅボン二つ」など二村定一の楽しい唄を収録しました。ビクターCDとともにご愛顧くださいませ。