ニッポン・スヰングタイム

著作やCD制作、イベントの活動を告知します。戦前・戦中ジャズをメインとして、日本の洋楽史について綴ります。

アンリ・マルトー

更新がはかばかしくないが、お許しあれ。

アンリ・マルトー Henri Marteau(1874-1934)は小生のもっとも好きなヴァイオリニストの一人である。

近年スウェーデンであったと思うがマルトーとその弟子の録音を集めた復刻盤が出たはずであるが、あいにく入手しそこなった。そのため、この盤ともう一枚、Sarasate:Habanera/ Brahms:Ungarischetanz Nr.6, EH248 の2枚ばかしで渇を癒やしている始末である。

このカルメンファンタジーはまったく驚嘆すべき技巧とセンスで弾かれている。こういう弾きぶりを粋というのだろう。ティボーなどよりは骨太で堂々として居るが、仏蘭西風の、剣士の決闘めいた気迫、その帽子の羽飾りのような洒落気が感じられる。キロガ、マルトー、ヴォルフシュタールが小生の三大ヴァイオリニストである。(本当はこれらにヴェチェー、プルジホダを加えたいところだ)

カルメン幻想曲」の録音は、おなじElectrolaに二種類ある。この盤は1927年12月12日録音である。

もう一種類は1928年2月21日に録音されたのだが、そちらはA面とB面でピアニストが異なる。昔、由来を聞いたなり忘れてしまったが、たしか後者は火事で原盤が破損して片面を別のピアニストで録音し直したのではなかったかしら。あるいは1927年の録音の原盤が破損して、翌年に録音し直したか、ちょっと今ではどちらが正しいか思い出せない。