ニッポン・スヰングタイム

著作やCD制作、イベントの活動を告知します。戦前・戦中ジャズをメインとして、日本の洋楽史について綴ります。

GW二村定一特集

イベント前なので二村定一を集中特集

良いお日和にめぐまれたGW、いかがお過ごしでしょうか。

一週間後の8日(日)の『浅草オペラ100年と二村定一リスペクト・ショー』(江戸東京博物館)まで、能うかぎり更新をして告知につとめたいと思います。

 

二村定一の一種の「誰これ?」感は、その風貌にあります。べーちゃん(二村の愛称)の顔は、まず鼻が大きいことが大正期から「オペラ」誌で戯画的に紹介せられました。

これはエノケン一座のチラシ、昭和8年5月 新宿松竹座での「天一坊と伊賀亮」の戯画ですが、二村はおおむねこんなヌメッとした似顔が描かれました。

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べーちゃんという愛称は、鼻の大きな騎士シラノ・ド・ベルジュラックになぞらえたものです。「ベートーヴェンのべーではなくてシラノ・ド・ベルジュラックのべー」というのは本人もしばしばエッセイでネタにしていました。

レヴューで登場したときのパッと華やぐ雰囲気をよく捉えているのが、松竹座図案部の川村秀治による新版画です。

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 時期不明(昭和期)のサイン入りブロマイド。

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他のブロマイドに描かれたサイン。

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下の図版は、大正13年のセノオ楽譜「キャラバン」に書き込まれたべーちゃんの字とサインです。まだ楽譜にタイトルを刷る前の試し刷りで、二村定一がセノオ楽譜発行者の妹尾幸二郎の周辺に縁を持っていたことを示します。この頃、二村定一は意欲的に海外の流行歌を歌い、昭和初期の大ブレイクへの筋道をつけていました。

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次回に続きます。よい休日を!